(公開日:2020年6月4日)
今日からは,「検査法」についてお話をします。
これまでお話しした実験法や調査法と,検査法との違いはどこにあると思いますか?
私たち,ひとりひとりには「個性」がありますよね。心理的な個性に目を向けてみましょう。たとえば,私たちの周りには,いつも陽気ではつらつとしている人がいます。でも,その一方で,憂鬱で悲観的になりがちな人もいらっしゃいます。あるいは,頭の回転がとても速い人がいます。でも,その一方で,頭の回転がゆっくりめな人もいます。個性とは,言い換えれば,「個人差」ということになりますが,私たちの「パーソナリティ(人格)」と「知能」には,極めて大きな個人差があるのです。
実験法や調査法では,一般に,得られたデータに含まれた個人差は,どちらかといえば「誤差」として扱われることが多いのですが,「検査法」では,このひとりひとりがもつ個人差に注目する点に特徴があります。
私は,実験法を応用して,障害児や高齢者など個人のもつ認知機能(脳機能)の違いを測定する課題の開発をやっているので,この個人差に注目していますし,個人差が生じる仕組みを研究することが人間を理解するために重要だと考えています。だから,ひとりひとりの個性である個人差をとらえる方法は,人を理解するときに欠かせない技術であり,研究方法なのです。
今日は,いつもとちょっと違う授業になります。まず,みなさんに質問紙法による性格検査を受けてもらいたいと思います。それが今日の課題です。難しい話じゃないから,今日は気楽に受けられますね (^^)。
受けてもらう性格検査は,柳井・柏木・国生(1987)が開発した「新性格検査」です。この結果は,検査法の最後の回の授業で使います(その時に,みなさんそれぞれの結果もメールでお知らせします)。実際に自分たちが出したデータを使って,実験法でお話しした母集団や分散・分布という考え方や,調査法でお話しした調査データの多変量解析法などを復習して,性格をどのように理解するかのお話をしたいと思っています。
なお,今回回答していただいたデータは,みなさんそれぞれへの返却目的以外に個人を特定した状態で扱うことは決してありませんので,どうぞご安心ください。
性格検査はGoogleフォームで行います。心理学におけるきちんとした性格検査ですので,質問文は130項目あります(時間的には30分くらいです)。それぞれの項目について,自分自身にあてはまる場合は「はい」を,あてはまらない場合は「いいえ」を,どちらともいえない場合は「どちらともいえない」を選んで回答してください。