AIカウンセラーを作ってみました

最近,学生たちと話しているとAIとおしゃべりするのが流行っているそうです。

ちょっとやってみようかと,先週末のオープンキャンパスの新しいデモンストレーションを兼ねて,実験室のアレクサ君(Amazon Echo)をChatGPTに繋いでみました。

PCやスマホを使えば音声による会話はもうある程度は実現できていますが,アレクサのようなスマートスピーカーだと安いものは数千円で買えるし,部屋の家電をコントロールしたりなど,音声を使った他の機器の制御にも使えます。家庭や職場で音声を使って会話するように,困ったときにお手伝いを頼んだり,わからないときに教えてもらったり,調べものにつきあってもらったり,暇なときに話し相手になってもらったりできたら,何か生活が変わるかもしれません。

AI技術を使っているとはいえ,スマートスピーカーは複雑な文章は理解できないし,それほど知的な処理はできません。ですが,アレクサが音声を聞き取って,そのデータをChatGPTに渡して回答を生成させて,その回答をアレクサがしゃべるようにすると,まぁそれなりに人間の相手をしてくれるようになります(今回の使用モデルはgpt-4o-miniなのですが,いろいろ遊んでも先月からのAPI使用料は$0.07なのでまったく問題ありません)。

ほとんどネット上に公開されているプログラムを借りて組み合わせただけの超簡単アプリですが,ChatGPTにデータを渡す前に,前提条件として…

「あなたの名前は『アレクサ』。カウンセラーとして,相手の話す言葉の背景にある感情を読み取り,共感をもって応答します。必要ならば,相手がどんな行動をとればいいかのアドバイスを行います。相手の言葉から感情が検出された場合は,応答の最後に『感情が検出されました』と話し,どのような感情が検出されたのかを説明します。」

…なんて設定しておくと,あら不思議,下のビデオのように共感的におしゃべりするようになります。ちなみにアレクサ君は「ありがとう」と聞くとその後の言葉は聞いていないようです(ゼミ生さんの反応のように,話をスルーされると我々人間にはショックですよね…笑)。このあたりは端末としてスマートスピーカーを使う際の限界かもしれません。

ChatGPT側はほとんどノープログラミングでいろいろと設定を変えられるので,私たちのように技術にあまり詳しくない心理の人間でもアイデア次第でおもしろい実験ができそうです(AIを応用することではじめて見えてくるような,人間じゃなきゃできない領域を再認識させる研究とかやってみたいですね)。また,一人暮らしのご高齢者が自宅で会話ができ認知症予防に役立つ環境をつくるというような応用にも発展できそうです。

私はローテク人間なので,いつもしこしこコードを書いて実験プログラムを作ってきたのですが,知らない間にもうこんな時代になっていたのですね(笑)。

次のオープンキャンパスは7月13日(日)。比治山心理のオープンキャンパスは吉田ゼミの出し物が満載です。どうぞ気軽に遊びにおいでください。