ミュラー・リェル錯視 実験プログラム(MullerLyer01)

このプログラムについて

大学における心理学教育では,必ず「心理学実験」という演習授業があって,心理学における古典的なテーマについて実際に実験をしながら体験すると同時に,心理学領域の論文執筆のきまりに従ったレポートの作成が求められます。その中でよく使われる実験テーマが,視覚的な錯覚現象である「錯視」であり,ミュラー・リェル錯視(ミュラーリヤー錯視)はその代表例です。

私が担当する心理学実験の授業では,テキストとして「宮谷・坂田ほか(編) (2009).『心理学基礎実習マニュアル』北大路書房」を使用していて,従来から,この図版(←PDFファイルです。使用される場合は100%スケールで厚紙に印刷してください)を使って,学生たちが実験者,被験者(参加者),記録者に分かれて手作業で実験を行っていたのですが,新型コロナ感染症のために学生たちが相互に接近して図版を交換しながらの実験が難しくなったので,この実験プログラムを作りました。

全国の大学の中には,こんなプログラムがあると助かるという先生もいらっしゃるかもしれませんので,ここに公開させていただきます。役に立つようでしたら,どうぞご自由にお使いください。

 

Web版プログラムについて

このプログラムには,ホームページをご覧のブラウザ上で動作するWeb版があります。データの記録機能はないのですが,私の授業では(PCルームが使えないので)このWeb版を使って実験しています。どのような実験プログラムか試すのにもお使いください(1条件あたり8試行です)。

 

Web版ミュラー・リェル錯視実験プログラム

ミュラー・リェル錯視実験プログラム

 

動作環境

ハードウェア

  • Windows PC(プログラムは32ビットでコンパイルしています。)

 

OS

  • Windows 10において開発および動作確認。

 

使い方

プログラムの実行

  • zipファイルをダウンロードした後,まず「右クリック」→「プロパティ」を選択して,「このファイルは他のコンピュータから取得したものです。…アクセスはブロックされる可能性があります。」という記述の横の「許可する」にチェックを入れて,ブロックを解除してください(これをしないと,初回実行時に「WindowsによってPCが保護されました…不明な発行元」というダイアログが出たり,異常に長い起動時間がかかることがあります)。

  • その後,フォルダごと解凍して,「MullerLyer01_release」フォルダ内の「MullerLyer01.exe」を実行してください。

 

条件設定

  • プログラム(MullerLyer01.exe)を起動すると,下の画面が表示されますので,ここで実験条件を設定します。

    • 参加者ID…参加者を識別するためのIDや名前などを入れてください(データファイルのファイル名として使われるので,ファイル名に含めてはいけない文字は絶対に使わないでください)。
    • 錯視図のタイプ…「内向図形」か「外向図形」のどちらかを選びます。
    • 斜線の長さ(%)…錯視図の主線(水平線分)を100とした相対値で,斜線の長さを指定してください。
    • 斜線の角度(度)…斜線の角度を指定してください。
  • 条件を設定したら,「実験開始」のボタンをクリックするか,[Enter]キーを押すと,実験が始まります。
  • プログラムを終了したいときは[ESC]キーを押してください。

 

実験中の画面

  • 実験では,精神物理学的測定法の調整法を使った8試行の実験を行います。
  • 被験者(参加者)役の学生さんは,左右の矢印キーか画面下の左右のボタンで比較刺激の水平線分の長さを,錯視図の主線部と同じ長さに見えるように調整し,同じ長さだと思ったら,[Enter]キーか右上の決定ボタンを押します(これを8回繰り返します)。

 

結果表示画面

  • 8試行の実験が終了すると,下のような画面に切り替わって,実験結果が表示されます(Web版プログラムはデータファイルを残せないので,この画面から必要なデータを記録します)。

 

データファイルなど

  • このプログラムでは,プログラムフォルダ内に作成された“data”フォルダに以下のファイルが自動作成されます。

 

_param.txt

  • プログラムのパラメータを記録しているファイルです。このファイルを削除すると,ゲームは最初の設定に戻ります。
  • ファイルの内容
    • participant…参加者ID
    • ml_type…錯視図のタイプ(1:内向図形,2:外向図形)
    • arrow_length…斜線の長さ
    • arrow_angle…斜線の角度

 

_MullerLyer01.csv

  • これまでに実施した実験結果のサマリー(集約データ)を保存しているファイルです。
  • データファイルの内容
    • 参加者ID…参加者ID
    • 日付…実験を行った日
    • 時刻…実験が終了してデータが出力された時刻
    • 錯視図…錯視図のタイプ(内向,外向)
    • 長さ…斜線の長さ
    • 角度…斜線の角度
    • PSE…主観的等価点(PSE,参加者が同じ長さと判断したときの比較刺激の長さ)
    • 上昇系列…上昇系列(比較刺激を短い方から始めてだんだん長くしていく)試行の平均PSE
    • 下降系列…下降系列(比較刺激を長い方から始めてだんだん短くしていく)試行の平均PSE
    • 標準上…標準刺激が上に,比較刺激が下に位置したときの平均PSE
    • 標準下…標準刺激が下に,比較刺激が上に位置したときの平均PSE
  • Excelなどでこのファイルを開いたまま,プログラムを実行しないようにしてください。ファイルにデータが書き込めずにエラーとなります。

 

[“(参加者ID)”.csv]

  • 参加者の試行ごとの実験データが記録されています。
  • データファイルの内容
    • 参加者ID…参加者ID
    • 日付…実験を行った日
    • 時刻…実験が終了してデータが出力された時刻
    • 錯視図…錯視図のタイプ(内向,外向)
    • 長さ…斜線の長さ
    • 角度…斜線の角度
    • 試行…試行番号(1~8)
    • 変化系列…比較刺激の変化系列(上昇,下降)
    • 標準刺激…標準刺激の位置(上,下)
    • PSE…主観的等価点(PSE)
  • Excelなどでこのファイルを開いたまま,同じ参加者IDでプログラムを実行しないようにしてください。ファイルにデータが書き込めずにエラーとなります。

 

制限事項等

  • 作者(吉田)は,このプログラムの動作を一切保証するものではありません。また,このプログラムを動作させたことによる一切の損失・損害に責任を持ちません。ご自身の責任のもとでお使いいただくようお願いします。
  • 実験中,中断したいときには[ESC]キーを押してください。その際,データは残りませんのでご注意ください。
  • 本プログラムは使用制限は一切ありません。どうぞご自由にお使いください。

 

変更履歴

  • v1.001…最初のバージョン(2020/9/26)

 

PC版プログラムのダウンロード

プログラムは,“MullerLyer01001_release”という名前のフォルダごとzip形式で圧縮されて1つのファイルになっています。ダウンロードした後に,必ずフォルダごとすべてのファイルを解凍してからお使いください。