このプログラムについて
【重要】このプログラムは,Windows7以降で使えるようになったタブレットPC用のマルチタッチインタフェース(API)を使用していますので,Microsoft Surface ProなどのタッチセンサつきPCが必要です(動作確認はMicrosoft Surface Pro,Surface Book,Panasonic CF-AX3で行っています。OSはすべてWindows10以降です)。
発達上の課題を抱えた子どもさんたちの中に,ひもを結んだり,はさみで紙を切ったり,字を書いたりが上手でなく,ボール投げや縄跳びなどもうまくできないというように,「運動面でぎこちない子どもが多い」という現場の声を聞いて,そんな子どもたちの手先の器用さを測定できないかと作成した課題です。
このプログラムは,浅川聡くん・岡田侑大くん・小松勇太くんが2014年度に行った卒業論文研究,「手指タッピング課題による子どもの運動発達の評価」のために作りました。この年のゼミの現場研究では,広島市内の保育園の協力を得て,ゲームを使って子どもたちの認知機能評価ができないかを検討しました。彼らのチームがこの手指タッピング課題を使って運動機能評価を行い,別の学生チームがモグラたたき課題を使って子どもたちの注意機能評価を行ったのですが,保育園に結果をフィードバックした際に,ゲームの成績から保育園側が発達上の課題を感じている子どもが検出できることがわかりました。
マルチタッチ対応のタブレットPCが必要ですし,C++とDirect X9 SDK(ソフトウェア開発キット)を使って作った昔のプログラムなので,PCによっては動作させるのにマイクロソフトから「Direct X runtime」をインストールしなければならないかもしれませんが,結構おもしろいプログラムで,最近注目されるようになった「発達性協調運動障害」(DCD)のようなぎこちなさの評価が可能なことから,公開することにしました。
図1 50タップ競争のゲーム画面
このプログラムは,科学研究費助成事業(基盤研究(C),課題番号25380995「障害児者の認知機能評価と成長の可視化に関するアクションリサーチ」,19K03389「センサ技術を活用した障害児の認知機能評価・発達支援プログラムの開発」)の補助を受けて開発・公開しています。
動作環境
ハードウェア
- Windows7以降のOS(Windows 10など)をもつマルチタッチ対応のタブレットPC。
- マウスでは使えません。
- キーボードが必要です。また,必ず画面回転を無効にしておいてください。
[OS]
- Windows 7以降。
使い方
ダウンロードしたら
- zipファイルをダウンロードした後,まず「右クリック」→「プロパティ」を選択して,「このファイルは他のコンピュータから取得したものです。…アクセスはブロックされる可能性があります。」という記述の横の「許可する」にチェックを入れて,ブロックを解除してください(これをしないと,実行時に「WindowsによってPCが保護されました…不明な発行元」というダイアログが出たり,異常に長い起動時間がかかることがあります)。
- その後,「50タップ競争」というフォルダごと解凍してください。
プログラムの実行
- プログラム(50タップ競争.exe)を実行して,初期画面のメニューから「Experiment(E)」→「Start」を選ぶか,ウィンドウ中央をクリックすると図2のダイアログウィンドウが開きます。ここで,参加者名を入力します。
図2 ダイアログウィンドウ
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- Subject ID(参加者名)…参加者を特定する文字列を入力します。データファイルの名前になりますので,ファイル名として使えない文字(たとえば,”+”, “*”, “?”, “:”など)は絶対に使わないようにしてください。
- 乱数初期値…このプログラムでは乱数を使用していませんので,0のままにしておいてください。
- 上のダイアログで「OK」ボタンを押すとゲームがスタートします。「よーい,ドン!」のかけ声にあわせて,人差し指と中指の2本の指で交互に画面をタップするとイヌが走りますので,ゴールを目指します。50回タップすると,イヌはゴールに到達して,タイムと順位が表示されます。
- 2本の指でタップするときに,前の指が画面から離れる前に次の指が画面にタッチした場合はそのタップは無効となるようにプログラムされていますので,でたらめに画面をさわってもイヌは前に進みません。したがって,このゲームでは上手に2本の指をコントロールしながらタップすることが要求されます。
データファイルなど
このプログラムでは,以下のファイルが自動作成(自動追加)されます。
50タップ競争.ini
- 参加者名(subject ID)や課題条件を記録しているファイルです。プログラムを実行すると自動で作成されます。このファイルを削除すると最初の設定に戻ります。
50タップ競争.txt
- これまでに実施した課題の結果のサマリー(集約データ)を保存しているファイルで,以下の項目を含むタブで区切られたテキストデータファイルです。
- Date … 日付
- Time … 時刻
- Subject … 参加者名
- Record … 記録(50タップにかかった時間)
- Flying … フライングの有無(0:Ok,1:フライング)
- ランキング(順位表)の作成に用いられるファイルなので,書き換えてしまうと,ランキングの表示がうまく行かなくなりますから気をつけてください。
- このファイルを削除すると,過去の成績(ランキングデータ)がクリアされます。
“Subject_ID”.csv
- ゲーム中の参加者のすべてのタッチ反応の記録です。
- csv形式(カンマで区切られたテキストデータ)なので,ダブルクリックするとExcelで開くことができ,これを分析することで対象者の指の動かし方を分析することができます。
- データ項目
- Subject … 参加者名
- Date … 日付
- Time … 時刻
- Num … タッチ番号
- Touch … (常に0)
- ID … Windowsが内部にもつタッチID
- X … タッチポイントのX座標
- Y … タッチポイントのY座標
- CX … Windowsが内部にもつタッチ座標(X)
- CY … Windowsが内部にもつタッチ座標(Y)
- Start … 指がタッチを開始した時間(ミリ秒)
- End … 指がスクリーンから離れた時間(ミリ秒)
- Count … 有効なタッチ(50タップ)のカウント値
- Error … エラーフラグ(0:有効タッチ,1:無効タッチ)
制限事項等
- 作者(吉田)は,このプログラムの動作を一切保証するものではありません。また,このプログラムを動作させたことによる一切の損失・損害に責任を持ちません。ご自身の責任のもとでお使いいただくようお願いします。
- 参加者ID(Subject ID)は保存されるデータのファイル名として使われるので,ファイル名として用いることのできない文字(たとえば,”+”, “*”, “?”, “:”など)は絶対に含めないようにしてください。また,データファイルをExcelなどで開いていると,データの書き込みができずにエラーとなりますのでご注意ください。
- このプログラムは,Windowsのタスクスイッチに十分に対応していません。タスクが切り替わった場合,SURFACE LOSTの状態(ゲーム開発環境のDirectXで書き込み用画面バッファが失われた状態)となることがあります。また,画面の回転が起きた場合も同様の状態となります。プログラムが反応しなくなったときは,[CTRL]+[ALT]+[DEL]キーを押して,タスクマネージャを起動し,このプログラムを強制終了させてください。
- 課題実行中に中断したいときには[ESC]キーを押してください。その際,データは残りませんのでご注意ください。
その他
- 走るイヌの絵は,当時のゼミ生の湯浅のぞみさんの作品です。また,「よ~い,ドン!」の音声は「あみたろ」さんの「声素材工房」のホームページからいただいて使わせてもらっています。ここに記して感謝します。
ダウンロード
プログラムは,「50タップ競争」という名前のフォルダごとzip形式で圧縮されて1つのzipファイル(50taps.zip)になっています。ダウンロードした後に,必ずフォルダごとすべてのファイルを解凍してからお使いください。
- 50タップ競争のダウンロード…50taps.zip