ブロックタッピング課題(block tapping task)

このプログラムについて

非言語的なワーキングメモリの容量を調べる課題として有名な神経心理学的検査「ブロックタッピング課題」のPC版です。言語的なワーキングメモリを反映する数唱範囲課題とは違って,視空間的な記憶容量を調べることができます。

この課題では,画面上の刺激項目(ブロック)が1秒ごとに光るので,その場所と順序を覚えて,画面のタッチ(あるいはマウスのクリック)で再生するようになっています。

乱数の種(random seed)を指定することで,反復提示による漸増的な長期記憶(近時記憶)形成能力を評価することもできます(v1.010以降)。

 

Web版プログラム

このプログラムには,ブラウザ上で動作するWeb版があります。データの記録機能がありませんが,手軽に試してみることができます(ブラウザによっては対応していないことがありますがご容赦ください)。

Web版 ブロックタッピング課題(v2.010)

ブロックタッピング課題(Web版)をやってみる

  • そのままスタートボタンを押すと,レベル(記憶範囲)3から始まり,正解するとレベルが上がっていきます。2回連続して間違えると終了します。
  • マルチプラットフォームWebGL版(画面の使い方が違うので上のプログラムでうまく表示されない場合に表示が改善されることがあります)。
  • 旧版はこちら
    • v1.010
      • 1つ前のWeb用バージョンです。マルチプラットフォームWebGLを使ってコンパイルしています(ただし解像度や縦横比によって画面が切れることがあります)。
      • Windows版をもとにしているので,メニュー画面で[ESC]キーを押すと画面は変わりませんがプログラムは終了しています(なのでもう反応しません)。その場合は,ブラウザのタブを閉じて,再度開き直してください。
    • v1.002
      • 2つ前のWeb用バージョンです。通常のWebGLでコンパイルしています。
      • 階段法(上下法)を使う条件になっています。
      • Windows版をもとにしているので,メニュー画面で[ESC]キーを押すと画面は変わりませんがプログラムは終了しています(なのでもう反応しません)。

 

動作環境

ハードウェア

  • Windows PC(タッチパネルをもつタブレットPCを使えば反応しやすいと思います)

 

OS

  • Windows 11(64ビット)で開発・動作確認を行っています。

 

使い方

ダウンロードしたら

zipファイルをダウンロードした後,まず「右クリック」→「プロパティ」を選択して,「このファイルは他のコンピュータから取得したものです…アクセスはブロックされる可能性があります。」という記述の横の「許可する」にチェックを入れて,ブロックを解除してください(これをしないと,実行時に「WindowsによってPCが保護されました…不明な発行元」というダイアログが出たり,異常に長い起動時間がかかることがあります)。

その後,「BlockTapping02010_release」というフォルダごと解凍してください。

 

プログラムの実行

プログラム(BlockTapping02.exe)を起動すると下のような条件設定画面になりますので,課題の実施条件を設定します。デフォルトではフルスクリーンを使いますが,[Alt]+[Enter]キーを押すとウィンドウモードで実行することもできます(キーを押すごとに表示モードをスイッチします)。

  • 参加者名…参加者ID(名前や参加者コードなど)を入力します。
  • 正順再生/逆順再生…逆順を指定すれば再生反応時に提示順序を逆転して再生するよう求めます。
  • ブロックの数…画面に表示される刺激項目数(光るブロックの数)を指定します。
  • 開始レベル…第1試行のレベル(刺激提示数)を指定します。
  • 反応転換数(終了条件)…このプログラムは精神物理学的測定法の階段法(上下法)を用いて,参加者の記憶範囲の上限を調べるように作っています。階段法では,まず誰もが正解するような簡単なレベルからはじめて,参加者が正解すればレベルを難しくしていきます(刺激提示数を増やします;上昇系列)。参加者が失敗すると(エラー試行),そのときの提示数(レベル)を正解からエラーに反応が変わった反応転換点として記録します。参加者がエラーをした後の試行では刺激提示数を減らして簡単にしていき(下降系列),エラーから正解に変わるとそのときの提示数を転換点の記録に追加し,次は難しくしていきます。これを数回繰り返すことで参加者の記憶範囲の閾値(限界値)を精密に測定します。転換点の平均値を計算することで記憶範囲を求めるので,この反応転換数には基本的に偶数を設定します(上昇系列試行と下降系列試行の数を同じにするためです)。
    • なお,反応転換数に「0」を指定すると,刺激提示数を増やしていく上昇系列だけになります。そのときには,この下の「連続エラー数」が意味をもちます(その際,階段法で測定された記憶範囲との比較はできません)。
  • 連続エラー数(終了条件)…上の反応転換数に0を指定すると,上昇系列のみの測定条件となります。そのときは,この欄に指定された数だけエラーが続くと課題は終了します(1以上の数を指定してください)。
  • Random Seed…「」を入れておくと,ブロック配置と光る順番は毎試行異なるので「短期記憶」を測定するモードになりますが,「1以上」の整数を入力すると,プログラムはそのseed値によって独自の固定したブロック配置と光る順番を用いるようになります。そのため,反復提示によって漸増的に形成されるある種の「長期記憶」の形成能力の評価が可能になります。これは別に掲載している数唱範囲課題における「拡張数唱範囲」モードに対応したものになります。
  • 結果を見る…このボタンを押すとこれまでの結果が順位表形式で表示されます。
  • 終了時に結果を表示…これをチェックしておくと,課題が終了した後,自動的に順位表が表示されます。

プログラムを終了するには,このメニュー画面で[ESC]キーを押してください。

 

課題画面

上の条件設定の画面で「スタート」ボタンを押すか[Enter]キーを押すと実験が開始されます。

各試行では下の画面のように試行数とレベル(覚える刺激提示数です)がボタンに表示されますので,ボタンを押すか[Enter]キーを押します。

 

すると,画面に円形の刺激ブロックが提示され,それが音を出しながら1秒ごとに青く光りますから,その場所と順番を覚えます。

 

レベルの数だけ刺激が提示されたら,すべてのブロックの枠が光って「ピン」という音がなりますので,光った順番に刺激項目をタッチ(クリック)していきます。正しい順番でタッチすると刺激項目は緑に光りますが,間違うと下のように赤く光ってエラー音がなります。

 

正解すると,レベル(刺激提示数)が増えていきます。階段法の設定では,指定された反応転換数が得られるまで試行を繰り返します(現在の反応転換数は画面右上のRevを参考にしてください)。上昇系列のみの場合は,連続エラー数で指定した数だけ連続して間違うと,実験が終了します(画面右上の表示のErrを参考にしてください)。

実験が終了すると,下の画面のように成績(スコア)がフィードバックされます。

 

結果の表示と順位表示

最初の条件設定画面で「終了時に結果を表示」がチェックされていたり,「結果を見る」ボタンを押したときは,下の画面のように記録の一覧が順位表形式で表示されます。表示項目は,順位,日時,正順再生(Fwd)・逆順再生(Bwd)の区別,反応転換数の設定値,測定された記憶容量,参加者名です。

 

データファイルなど

このプログラムでは,「data」フォルダ内に以下のファイルが自動作成されます。

 

_param.txt

最初の画面で設定する課題の実施条件が記録されたファイルです。このファイルを削除すると,プログラムの設定はデフォルト(初期設定)に戻ります。

  • participant … 参加者IDです。
  • flag_reverse…逆順再生では1になります(正順再生は0)。
  • n_blocks … 画面に表示されるブロックの数です。
  • start_level … 開始レベルが記録されています。
  • max_reversals … 反応転換数(終了条件)が記録されています。
  • max_errors … 連続エラー数(終了条件)が記録されています。
  • rnd_seed…random seedの値が保存されています。
  • flag_show_result … 終了時に結果を表示するかどうかが1か0で記録されています。

 

_BlockTapping01.csv

これまでに実施した課題の結果のサマリー(集約データ)を保存しているファイルです。

  • Participant…参加者名
  • Date…日付
  • Time…時刻
  • Backwd…逆順再生の場合は1(正順再生は0)。
  • NRevs…反応転換数の設定値
  • RndSeed…乱数の種(1以上で長期記憶)
  • Score…測定された記憶容量

このファイルを削除すると,過去の成績がクリアされます。

Excelなどでこのファイルを開いたまま,プログラムを実行しないようにしてください。ファイルにデータが書き込めずにエラーとなります。

 

日付_時刻_(参加者名).csv

課題遂行中の反応の詳細が記録されたデータファイルです。

このファイル内のデータ項目の意味は次の通りです。

  • Participant … 参加者ID
  • Date … 日付
  • Time … 時刻
  • Backwd…逆順再生の場合は1(正順再生は0)。
  • NBlocks … ブロックの数
  • NRevs … 反応転換数の設定値
  • RndSeed … 0に固定
  • Trial … 試行番号
  • Level … その試行の刺激提示数(レベル)
  • NCorrect … 連続して正しい反応が得られた数
  • RT … 再生に要した時間(秒)
  • Error … エラー試行では1(そうでなければ0)
  • Rev … 反応転換が生じた試行の反応転換のカウント値

 

制限事項等

作者(吉田)は,このプログラムの動作を一切保証するものではありません。また,このプログラムを動作させたことによる一切の損失・損害に責任を持ちません。ご自身の責任のもとでお使いいただくようお願いします。

課題実行中に中断したいときには[ESC]キーを押してください。中断した場合,データは一切残りませんので気をつけてください。

 

ダウンロード

プログラムは,「BlockTapping02010_release」という名前のフォルダごとzip形式で圧縮されて1つのファイルになっています。ダウンロードした後に,必ずフォルダごとすべてのファイルを解凍してからお使いください。

 

バージョン情報

  • v1.002…最初の公開バージョン(2023/7/22)
  • v1.010…random seedの指定を可能にして長期記憶(近時記憶)形成の評価を可能にしました。また,クリック音の再生ができない場合がある点について修正を試みました(2024/8/16)。
  • v2.010…逆順再生ができるようにしました。また,画面の使い方を変更して,できるだけ刺激画面全体が表示されるようにしました(2025/9/8)。

 

長期記憶形成能力の評価について

言語的な記憶システムを反映するとされる数唱範囲課題と比べ,ブロックタッピング課題は空間的な記憶システムの記憶範囲を測定する課題と言えます。昨年公開した拡張数唱範囲課題によって長期記憶(近時記憶)の形成能力が評価できるのと同様に,このブロックタッピング課題でも漸増的に形成される記憶容量(incremental memory span)を調べることができると私たちは考えています。下のビデオは,私がやってみた例ですが,このように30か所以上の場所の系列を楽々と覚えることができる能力を私たちはもっているようです。